実践事例

2026.02.24

その他

埼玉県立川越高等学校

川高サイエンス探究:高性能PC・3Dプリンタで挑むサッカーロボット開発探究

探究×ICT

プログラミング・ものづくり

発表・共有型

サムネイル

導入の背景・ねらい

<背景(課題)> 探究活動が「調べ学習」で終わりがちで、試作→検証→改善のサイクルを回す経験が不足しやすい。 生徒の興味関心は高い一方、ものづくり・プログラミング・データ分析を統合した学びの機会が限られる。 <ねらい(育てたい資質能力)> 課題設定力:目的(勝つ・安定して動く等)を要件に落とし込み、評価指標を定義する。 探究の方法:仮説→設計→試作→実験→分析→改善の反復を通して、科学的・工学的な思考を身に付ける。 情報活用能力:センサ値・ログ・動画などを用いたデータ分析で、改善の根拠を説明できるようにする。 協働・表現:役割分担と合意形成、成果をレポート・ポスター・プレゼンで発信する力を高める。 挑戦する態度:全国大会(ロボカップ)出場を目標に、失敗から学び粘り強く改善する姿勢を育てる。

実践内容

<対象・形態> ・「川越サイエンス探究」内のチーム探究(4~6人程度/班) ・高性能PC・3Dプリンタを中核機器として活用 <全体の流れ> ①導入(課題提示・ゴール設定) ・サッカーロボット競技のルール理解、過去機体の観察 ・「勝つための要因」を洗い出し(機構・制御・視覚/センサ・戦略)、班の開発テーマを決定 ・評価指標(直進性、旋回時間、シュート成功率、故障率等)を設定 ②設計(要件定義→設計案作成) ・機体構造(フレーム、キッカー、ボール保持機構等)をスケッチ→CAD化 ・部品点数・強度・軽量化・組立性・保守性を検討し、設計レビュー(相互評価) ③試作(3Dプリンタで部品製作→組立) ・3Dプリンタでパーツを造形、寸法誤差・強度・破損要因を記録 ・組立・配線・安全確認(回転体、加熱部、工具使用ルール) ④制御・プログラミング(高性能PCで開発・検証) ・センサ/カメラ/モータ制御の基本動作を作成 ・動作ログ(制御量・センサ値・エラー)を取得し、再現性のあるテスト手順を整備 ⑤実験・データ分析(改善の根拠づくり) ・走行・キック・追従などのテストを計画的に実施 ・動画解析やログ集計で、課題(滑り・遅延・誤差・衝突)を特定 ・改善案(形状変更、パラメータ調整、制御ロジック変更)を立案し、再試作へ ⑥統合(戦略・チーム連携、実戦形式練習) ・機体性能だけでなく、試合状況に応じた戦略(守備・攻撃切替等)を検討 ・実戦練習→課題抽出→改善を反復 ⑦成果発信(校内発表→大会挑戦) ・探究レポート(目的・方法・結果・考察・改善履歴)作成 ・校内発表・ポスターセッション等で共有 ・ロボカップ全国大会への出場を通して、外部評価・フィードバックを獲得

創意工夫ポイント

・「評価指標」を先に決める:好きな改造ではなく、データで良し悪しを判断できる探究にする。 ・改善履歴の見える化:設計変更点・理由・結果を「改善ログ」として残し、再現性のある学びにする。 ・役割分担の固定化を避ける:設計・造形・制御・分析をローテーションし、全員が複数技能を経験。 ・失敗を価値化する評価:成功だけでなく、仮説の妥当性・検証の丁寧さ・改善の筋道を評価。 ・安全・保守を探究に含める:破損原因の分析、強度設計、整備性(交換のしやすさ)も「探究の観点」にする。

成果・効果・生徒の反応

・「根拠をもって改善する」姿勢が定着:感覚的な議論から、ログ・動画・計測に基づく意思決定へ移行。 ・学びが統合された:ものづくり(3D設計/造形)と情報(プログラミング/データ分析)が結び付き、学習の目的意識が高まった。 ・協働の質が向上:役割分担と共有ドキュメントにより、作業の属人化が減り、班内レビューが活性化。 ・挑戦が学習の推進力に:全国大会(ロボカップ)出場という明確な目標が、探究の粘り強さ・やり抜く力につながった。 ・発信力の向上:設計意図や改善の過程を、図表・データで説明するプレゼンが増えた。

今後の課題

・機器運用の最適化:3Dプリンタの稼働計画、消耗品管理、故障時の復旧フローの整備(継続運用の仕組み化)。 ・データ分析の標準化:取得するログ項目・分析手順・可視化テンプレートを整え、班間で比較可能にする。 ・学習支援の段階化:初学者でも参加しやすいよう、基礎課題(小さな成功体験)→応用探究へ進む教材設計を強化。 ・評価の精緻化:成果物の完成度だけでなく、探究プロセス(仮説、検証、改善)の評価を、より公平に運用する。 ・外部連携の拡充:大学・企業・競技コミュニティ等との交流機会を増やし、技術面・探究面のフィードバックを多様化する。

実践風景

使用ツール情報

高性能パソコン/3Dプリンタ

用途:3D CADによる機体・部品設計、制御プログラムの開発・動作検証、走行・キック等の実験結果(ログ・動画)の集計・可視化・データ分析、ロボット部品(フレーム、機構部等)の試作・造形

実践学校情報

埼玉県立川越高等学校

埼玉県川越市郭町2-6

西部エリア

普通科

理数・科学

学校詳細はこちら

関連する事例を知る